今年はカメムシの発生が全国的に目立っています。8月31日時点で、カメムシの大量発生に関する発生予察注意報を出した都道府県は31府県・43件にのぼり、前年を大きく上回りました。高温や暖冬といった気温の影響が背景にあると指摘されています。被害が出ているのは次のような場所です。
- 水稲
イネカメムシなどの斑点米カメムシ類が穂を吸汁し、斑点米や不稔(実らない穂)の原因になります。 - 果樹
和歌山県などでは、予察灯での誘殺数が前年や平年を大きく上回る地域があり、山林に隣接する園地で特に注意が必要とされています。 - 住宅・家庭
秋になると越冬場所を探して家屋周辺に集まり、洗濯物や網戸、窓まわりに付くケースが増えます。
カメムシによる被害を抑えるには、『地域の発生状況を把握する』『適期に防除する』『作物と圃場に合った噴霧機・ノズルを使う』ことが大切です。
ただし、水稲と果樹では被害をもたらすカメムシの種類や防除のタイミングが異なります。住宅に侵入するカメムシへの対策も、農作物の防除とは分けて考える必要があります。
この記事では、カメムシの大量発生に備えて確認したい情報から噴霧機の選び方、安全な散布方法までを紹介します。
カメムシが大量発生しているか、まずは地域の情報を確認
カメムシの発生量は、地域・種類・気象条件によって変わります。「全国的に多い」という情報だけで判断せず、自分の地域と栽培作物に関する発生予察情報を確認しましょう。防除計画を立てる際も、都道府県の病害虫防除所が公表する最新の予報・注意報・警報が参考になります。
確認したい項目は、次のとおりです。
『発生が多いカメムシの種類』『被害が予想される作物と地域』『ほ場への飛来と発生時期』『推奨される防除のタイミング』
予察情報とあわせて圃場を見回り、カメムシの発生や被害の兆候を確認することが防除の判断につながります。
カメムシによる被害|水稲・果樹・住宅で何が違う?
【水稲】斑点米や不稔の原因になる
斑点米カメムシ類は、登熟中の籾を吸汁し、米に着色などの被害を生じさせます。斑点米の混入は、米の品質や検査等級に影響することがあります。また、イネカメムシなどは、出穂期ごろの加害によって不稔を引き起こす場合があります。斑点米対策だけでなく、発生する種類に応じた防除が重要です。
【果樹】吸汁による品質低下や落果につながる
果樹カメムシ類は、果実を吸汁し、変形や品質低下、落果などを引き起こすことがあります。園外から飛来するため、地域の発生予察情報に加え、園内への飛来状況も確認しましょう。山林に隣接する園地などでは、特に注意が必要です。
【住宅】秋の侵入対策が中心になる
住宅では、越冬場所を探すカメムシが窓や網戸、洗濯物などに付着することがあります。この場合は、農薬散布よりも、すき間の補修や取り込み時の確認など家の中へ入れない対策が基本です。農業用農薬を住宅の侵入対策に流用しないでください。
カメムシ対策で噴霧機が役立つ理由
対象となる作物に農薬の散布を行うことで被害を防止できます。
ただし、散布すれば必ず被害を防げるわけではありません。効果を左右するのは、次の組み合わせです。
- 対象作物・対象害虫に登録のある農薬を選ぶ
- 発生状況と作物の生育に合った時期に散布する
- 必要な散布量を守り、散布むらを減らす
- 作物や散布方法に合った噴霧機・ノズルを使用する
噴霧機は防除に必要な薬液を適切に届けるための道具です。価格やタンク容量だけでなく、実際の作業条件から選びましょう。
噴霧機のおすすめは用途で変わる|選び方の比較
噴霧機の選定では、「加圧方式」と「持ち運び方」を分けて考えると分かりやすくなります。
| 種類 | 使用用途 | 選ぶときの注意点 |
|---|---|---|
| 蓄圧式噴霧機 | 家庭菜園や小面積での散布 | 手動での加圧が必要。 容量を確認。 |
| 人力噴霧機 (背負式) |
小規模圃場など | ポンプ操作の負担や 背負いやすさを確認。 |
| 乾電池 バッテリ動噴 |
手動加圧の負担を減らしたい作業 | 連続使用時間、吐出量、対応ノズルを確認。 |
| エンジン式動噴 | 広い圃場や十分な吐出量が必要な作業 | 必要な性能、重量、整備性を確認。 |
購入前に確認したい5つの項目
- タンク容量:必要な散布量と補給回数に合っているか
- 満水時の重量:薬液を入れた状態での身体への負担はどうか
- 圧力・吐出量:使用するノズルや散布方法に対応しているか
- 洗浄・整備性:タンク、フィルター、ノズルを清掃しやすいか
- 部品供給:パッキンやノズルなどの交換部品を入手できるか
ノズル選びも重要|細かい霧ならよいとは限らない

カメムシ防除では、噴霧機本体だけでなくノズルの選定も重要です。ノズルによって散布幅、吐出量、粒子の大きさなどが変わります。細かい霧は風の影響を受けやすく、圃場外へ飛散するおそれがあります。一方、飛散を抑えることだけを優先しても、必要な付着や被覆が得られなければ適切な散布になりません。
ノズルは、次の条件を合わせて選びましょう。
-
- 水稲・果樹など対象作物の形状
- 農薬のラベルに示された散布方法や散布量
- 噴霧機の対応圧力と吐出量
- 周辺の作物、住宅、水路などへの飛散リスク
散布前には清水で作動を確認し、噴霧の偏り、液漏れ、詰まりがないか点検してください。
斑点米カメムシの防除時期
水水稲の斑点米カメムシ類の防除は、出穂期と乳熟期の2回が基本とされています。とくに出穂期の対応が重要です。地域によっては、農林水産省の臨時特例対策で追加防除が推奨されており、防除回数を増やす動きもあります。
畦畔の草刈りは出穂直前を避けて計画する
畦畔などのイネ科雑草は、一部の斑点米カメムシ類の生息場所になります。
出穂直前や出穂後の草刈りによって、カメムシが水田へ移動するおそれがあるため、草刈りの時期にも注意しましょう。地域によっては、出穂の約2週間前までに終えることが目安として示されています。具体的な時期は、地域の防除指針を確認してください。草刈り後に必ず農薬を散布するのではなく、発生状況を踏まえて判断することが大切です。
噴霧機で農薬を散布するときの安全ポイント
1.農薬の登録内容とラベルを確認する
使用前に、次の項目を確認してください。
- 適用作物・対象害虫
- 希釈倍数または使用量
- 散布量と使用方法
- 使用時期・収穫前日数
- 使用回数と有効成分ごとの総使用回数
濃度を上げたり、使用回数を増やしたりする自己判断は避けましょう。
2.風や周辺環境を確認する
早朝や夕方でも風が強ければ散布に適しません。時間帯だけでなく、実際の風向・風速や降雨の見込みを確認します。周辺の作物、住宅、道路、水路などへの飛散を避け、注意事項も製品ラベルに従ってください。
3.指定された防護具を着用する
農薬のラベルに従い、農薬用マスク、保護眼鏡、適切な手袋、保護衣などを使用してください。散布中だけでなく、薬液の調製や器具の洗浄時も皮膚や目への付着を防ぐ必要があります。
4.使用後は洗浄し、排水にも配慮する
作業後は、取扱説明書に従ってタンク、ホース、フィルター、ノズルを洗浄します。残った薬液や洗浄液を河川、水路、排水口へ流さないでください。農薬の表示や地域の指導に従い、適切に取り扱いましょう。
家庭のカメムシ対策は侵入防止を優先
住宅への侵入を防ぐには、次の対策を組み合わせます。
- 網戸の破れや窓・サッシのすき間を補修する
- 洗濯物を取り込む前に、カメムシの付着を確認する
- 見つけたカメムシをつぶさず、容器などで静かに捕獲する
- 殺虫剤を使用する場合は、対象害虫と使用場所の表示を確認する
住宅用の製品でも、噴霧器への詰め替えや希釈が認められているとは限りません。製品に表示された使い方を守り、農業用の防除とは区別してください。
カメムシ防除と噴霧機に関するよくある質問
Q.カメムシを見つけたら、すぐに農薬を散布すべきですか?
発見しただけで一律に散布するのではなく、種類、発生量、作物の生育段階、地域の防除指針から判断します。判断が難しい場合は、地域の普及指導機関やJAなどに相談してください。
Q.カメムシ対策におすすめの噴霧機はどれですか?
小面積なら人力式噴霧機、手動の負担を減らしたいなら電池・バッテリ式などが候補になります。広い圃場や果樹では、必要な吐出量や到達範囲も重要です。作物・面積・散布量に合わせて選びましょう。
Q.圧力を高くすれば、防除効果も高くなりますか?
高圧にすれば必ず効果が高まるわけではありません。ノズルによっては粒子が細かくなり、飛散が増える場合があります。噴霧機とノズルの仕様に合った圧力で使用してください。
まとめ|発生情報・防除時期・防除機をセットで見直す
カメムシの大量発生に備えるには、薬剤や噴霧機だけに頼らず、地域の情報と圃場の状況を踏まえた対策が必要です。
- 地域の発生予察情報と圃場の見回りで発生状況を把握する
- カメムシの種類と作物の生育に合わせて防除時期を判断する
- 作業条件に合った噴霧機・ノズルを選び安全に散布する
噴霧機を選ぶ際は、栽培作物、圃場面積、必要な散布量を整理すると適した機種を絞り込みやすくなります。
【麻場の噴霧機】
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